香の朱

理学療法士の勉強ブログです

臨床実習を乗り越えるポイント10

理学療法士作業療法士の実習は辛いとよく言われています。

 

私も学生時代は苦労し、乗り越えてきました。

 

私は臨床実習には回復期病院と急性期病院の2か所に行きましたが、どちらも指導が厳しく、簡単に言えばブラックな病院でした。

乗り越えるポイントをお話しする前に簡単にどんな病院に行ったかを説明していきたいと思います。

ポイントだけ知りたい方は次の目次からポイントに飛んでいただけると幸いです。 

 

 

1か所目 回復期病院

この病院は自宅から1時間ほどの距離にある回復期の病院でした。この病院はリハビリスタッフが50人以上おり、初日はスタッフの多さに圧倒されたのを覚えています。

2か所目の急性期病院に比べ、まだマシでしたが、何度が心が折れかけました。

この病院では私にとって初めてとなるスーパーバイザーの存在が波乱を巻き起こしました。何に対して怒られたのかは正直全然覚えていません。患者の見学を一緒にするように言われ、スーパーバイザーに付いているとその時間はずっと叱責を受けていました。何について怒っているのかもわけがわからないまま、私は黙って聞くしかありませんでした。

 

その中でも印象的だった事件が2つあります。

・10日連続出勤要求事件

・冤罪事件

 

10日連続出勤は最終的には無しとなりましたが、提案された時は本当に意味が分かりませんでした。スーパーバイザーとケースバイザーがいる日は全て出勤にしようと笑いながら言われました。

 

冤罪事件は最終日の実習の振り返りまとめ時間に起きました。私自身の服装について「派手な格好をしてきていると他の先生から指摘があった!」と怒り始めたのです。かなりの剣幕でまくし立てたので、とりあえず謝罪したのですが全く思い当たることがなく、私服も靴下を白にしないといけなかったのかなと的外れなことを考えていました。

怒られている最中、同じ時期に実習を行っていた他の学生が派手な格好をしているのを思い出しました。またバイザーも更衣室で何度も一緒になっており、自分がもし派手な格好をしていれば、その時に指摘を受けているはずです。

「あー、これは間違えられたな」と思いましたが、実習最終日だったので穏便に済まそうと叱責を受け入れました。

  

2か所目 急性期病院

この病院は一言で表すと地獄でした。回復期病院が可愛く見えるほどの真っ黒なところでした。

やばいという話は既に先に実習に行ったグループから聞いていました。全員、一回は泣かされているらしいです。私も我慢できず、思いっきり泣きました。

  

ケースバイザーはまだ経験の浅い先生で、何をしても怒られていました。

質問をすれば「そんなこと質問しないで!」、質問しないと「なんで質問しないの!」と叫びたてるような先生でした。

ケースだった患者さんは特に起き上がり動作が大変な方でした。ある日、どちらのバイザーもお休みの日に他の先生とその患者さんのベッド環境を変更したところ、とてもスムーズに起き上がり動作が可能になりました。それを録画し、次の日にケースバイザーに動画を見せ報告したところ、「これはあり得ない!」と認めてもらえず、ベッド環境の変更も出来ませんでした。この一件でケースバイザーへの信用は一切無くなりました。

  

病院説明で時間を取ってしまいましたが、そんな辛い実習を乗り越えるためには何をすればいいのか、自分がこうすれば良かったなと思う点も含めポイントをお話しします。

あくまでも辛いあるいは自分と合わなかった実習地を乗り越える方法ですので、今の実習地でうまくいっている方の参考にはならないかもしれません。

 

ポイント①「事前の情報を得る!」

 大概の実習地は先輩や早い時期に実習に行ったグループが情報を掴んでいるはずです。どんな流れで実習が進むのか、その施設特有のルールはあるのか、少しでもその施設の情報を知ることが安心につながると考えられます。

 例えば、私の行った施設では出勤さえすれば落とされないという話があり、どんなに辛くても落とされることはないと思うことで心理的にも救われました。

 バイザー会議で実習前に実習先の先生と面談する機会もあるかと思いますので、その際に課題や流れについては聞いておくと良いと思います。

 

ポイント②「決まった服装で通勤する!」

 これは私が実践していた方法です。大概の実習地は初日のみスーツで赴き、翌日から私服に変更となると思います。いちいち、服装を考えていると朝の時間も勿体ないです。

 私は実習用に無地の黒と白の服を買いました。

 白ズボン+黒Tシャツか、黒ズボン+白Tシャツの2パターンのみで基本は通っていました。たまに洗濯が間に合わない際はグレーのTシャツを入れたりしていました。基本は無地ので白か黒かで決めておけば大きな問題はありません。

 前述した冤罪事件の際は全く役に立ちませんでしたが(笑)

 

ポイント③「デイリーノートには時間を使わない!」

 デイリーノートには本当に時間を使わなくていいと思います。書く内容は基本は実習先の形式に乗っ取り行います。

 私の行った実習先では決まった形式がなく、自由記載だったので、その日のスケジュールと1~2症例についての内容を書いていました。私は見学中からまとめる内容をメモしておき、帰りの電車で携帯に打ち込み、パソコンに送り、コピペしていました。

 あと、手書きが可能な施設では休み時間や空いている時間のうちにノートに書き込み、家ではデイリーノートをやらないという友人もいました。

 少しでもやり方を工夫して時間の短縮を図りましょう。

 

ポイント④「ケースレポートのルールを作る!」

 ケースレポートを書く際は大項目は太字で書くことやフォントサイズを変えることなどにルールを明確にしておくのがお勧めです。

 2か所目の施設では改行の位置がずれているだけでもケースレポートを見てもらえないことがありました。そういったトラブル回避にも有効です。

 また、ルールを決めておくことで、自分とっても見やすく、記載しやすくなると思います。

 

ポイント⑤「友達を有効活用しよう!」

 実習中は時期によっては友人が大学にいることもありました。悩んだことや調べものが多い際はすぐに友人に依頼しましょう。私も術式について分からないことがあり、友人に大学の図書館で調べてもらうように依頼したことがあります。

 医学の知識はインターネットや手持ちの資料から得るには限界があります。その際に一番活用できるのが養成校の図書館だと思っています。うまく調べられないことに時間を費やすのは勿体ないので、すぐに学内にいる人に連絡を取りましょう。

 

ポイント⑥「実習中でも癒しを見つけよう!」

 辛い実習中でも良いことや癒しになることが1つくらいはあるはずです。

 私の場合は実習先に某有名アイドルにとても似た先生がおり、その先生の見学に入ることがとても楽しかったです。理由や内容は何でもいいんです。自分にとって癒しになる人や場所、気を緩められるところを探しましょう。

 帰り道で食べる焼き鳥が美味しいとか本当に何でもいいです。

 

ポイント⑦「患者さんとの関係性を大事に!」

 自分のケースとなる患者さんとはバイザー以上に長い時間関わることもあるでしょう。リハビリの時間に限らず、食事場面を見る可能性もありますし、普段の生活を観察しに行くこともあると思います。

 その患者さんから「ありがとう」の言葉をもらうだけで辛いことが全部吹っ飛びます。病院で働き始めても未だにケース患者さんから感謝されたことを思い出し、原動力になっています。

 今でも退院される患者さん、あるいはご家族さんから「ありがとう」をもらうだけで頑張って続けてきて良かったと思います。

 

ポイント⑧「立ったまま寝る」

 これについてはあまり推奨はしません。本当に切羽詰まっている時は恐らく徹夜をすると思います。正直、徹夜すると脳が持たず、勝手に瞼が下がってきます。私は眠気が来た際はとりあえずメモを取っているように見せかけて寝てました。立ったままというのは単純に実習生が座ることを良しとしなかったためです。

 

ポイント⑨「無関心になろう」

 精神論になってしまいそうですが、無関心になってしまえば、何でも許容できるようになります。急性期病院では半分を過ぎたあたりからケースバイザーには関心も抱いておらず、怒られた時も「あー、また何か言ってるわ」くらいの気持ちで過ごすことが出来ました。

 

ポイント⑩「交通事故にあったと思って!」

 これは実習に行く前に学校の先生が言っていた言葉です。2013年に実習生が自殺した事件があり、ある程度は体制が整ってきていますが、パワハラに値する実習地がまだ残っているのが現状らしいです。そういう実習地に当たったら交通事故だと思えと言われました。

 バイザーに対して無関心になるのと同じくらい「事故ったな」と思うことで、自分の責任ではないと思うようにしていました。

 

まとめ 

 自分の体験も含めてざっくりとポイントをまとめてみましたが、いかがだったでしょうか。後半は精神論になってしまう部分も多かったですが、実習さえ乗り切れば、あとは怖くありません。

 実習中にやってはいけないのは全部自分が悪いとマイナスの方向に考えてしまうことだと思います。すべてを自分のせいにするとどこかで壊れてしまいます。もちろん、日々の反省は忘れてはいけませんが、時々、運が悪かったなど自分以外のところに理由をつけてもいいかと思います。

ポジティブルールは患者の行動を変える!

ポジティブルール、ネガティブルールという言葉を知っていますか?

私は介入する際にはこのルールに注意し、患者さんと接するように心がけています。

 

 ポジティブルールとネガティブルールとは

 

A「リハビリをすれば歩けるようになりますよ」

B「リハビリをしないと歩けるようになりませんよ」

 

簡単な例文を挙げました。

Aのような「○○をしたら、○○になる」というプラスの結果を示すポジティブな意味を持つ指示をポジティブルールと言います。

逆にBのような「○○をしないと、○○できない」というマイナスの結果を示すネガティブな指示をネガティブルールと言います。

 

ポジティブルールは相手に対して、見通しを与え、行動を強化させます。

ネガティブルールは相手の不安や苛立ちなどを引き起こしやすいと言われています。

 

たまに臨床場面で「やらないと出来ない」とベッドサイドで患者さんと言い合っている場面を見ます。ネガティブルールで行動を促しても、継続してやってくれるようにはなりません。

 

ですが、ポジティブルールで促すことで、「促せばやってくれる」状態から「自らやる」ように行動が強化されていきます。

 

 

効果的なポジティブルールの提示

 

A「リハビリを頑張ったら、良いことがありますよ」

B「立つ練習を頑張れば、今週中にトイレへ行けるようになりますよ」

 

同じポジティブルールですが、皆さんはどちらの方が意欲が出ると思いますか?

 

考えるまでもなく、Bの方がやる気を引き出せると思います。

 

このようにポジティブルールにも適切な使い方があります。

簡単に言えば、行動によって得られる結果や条件を明示することが、行動を引き出しやすくなります。

 

私が臨床で心がけているのは具体的に伝えることです。どんな行動をしてほしいのか、リハビリをやってくださいだけでは患者さん自身もイメージが出来ません。

また、その行動をやることで、どんな結果が得られるのかについても、期日や内容についてなるべく具体的に示します。

 

 

ポジティブルールの注意点

 では、患者さんに対してポジティブルールを使っていこう! と思ってもすぐに言葉にするのではなく一度よく考えてください。

「 A をしたら、 B になりますよ」

 

Aに、やってほしい内容や出来るようになってほしい内容を入れますが、その内容は患者さんがきちんと遂行できるものでしょうか?

最初は無誤学習(erroriess learning)となるように達成できそうな目標や内容にした方が良い反応が得られます。

 

訓練量が多かったり、強度の過負荷によってトレーニングが達成できなかった場合、人によっては「ついていけなかった」「失敗した」と感じ、行動が弱化してしまうことがあります。

 

リハビリ開始時や開始して日が浅く、患者さんとのラポールが形成できていない時期は、成功できる運動内容になるように注意することが必要です。

 

 

普段から何気なく伝えている指示や運動内容についてポジティブな結果を示しながら、介入してみると何か変化があるかもしれません。

ぜひ、意識してみてください。

自己紹介

はじめまして、オカヤと申します。

 

職業は理学療法士で、病院勤務しています。

 

久々のブログ運営ですので、ここでは簡単な略歴と私が理学療法士を目指そうとしたきっかけなどを書いていこうと思います。

 

 

 自己紹介

 

東京生まれ東京育ちですが、現在は都内からは少し離れたところで勤めております。

 

私はスポーツなどにはあまり興味がなく、小さいころからアニメやゲームが大好きでインドアな人間でした。理学療法士を目指す方の多くはスポーツ経験と知ったのは大学へ入学してからだったので、スポーツをやってこなかった自分が少し恥ずかしくも思いました。

 

理学療法士を目指したきっかけ

 

そんな私がなぜ、理学療法士を目指そうと思ったのか

 

理由は様々ですが、医療職につきたいという気持ちは小学生の時からありました。母が医療系のドラマが好きで、よく一緒に見ていました。救命病棟24時ナースのお仕事ドクターコトー、どのドラマも好きでいつかは医療に関わりたいと思っていました。

 

高校生の頃、自分の進路を考えている時に寝たきりだった祖父が亡くなりました。亡くなる数週間前にたまたまお見舞いに行ったんですが、自分の子どもの顔も分からないくらい認知状態だったは覚えています。

 

「医者を呼べ! 俺は歩く!」

 

突然、祖父が大きな声を出したことを今でも鮮明に思い出します。誰が誰だが分からない状態でそんなことを言ったのに衝撃を受けました。私たちが普段何も考えずに行っている「自分の足で歩く」という当たり前の行為の意味を考えさせられました。

 

そこから色々と調べ、最終的に行きついたのが理学療法士という仕事でした。

 

学生時代と現在 

 

当時、高校は家から一番近いところに通っていたので、学力はやや低めでした。そのおかげで、成績だけは良く、進学も推薦で早々に決めてしまいました。大学も選ぶ余地はほとんどなく、学費が高すぎず、通える範囲の無難なところです。

 

人生の中で大学生になってからが一番勉強をしたと思います。運よく、高校も推薦で受かったので、今まで筆記試験での受験は行ったことがありません。大学4年になる頃には国家試験というものが本当に怖かったです。

 

そして、無事に理学療法士となり、現在に至ります。

 

転職は一度もしたことがありませんが、いつか転職する可能性も考え、今のうちにとれる資格は取得しておこうかなと考えています。

 

今後の長い人生を考えるとずっと民間病院で働き続けるのか、訪問がいいのか、公的な病院がいいのか、なんてことを考えますが、人間関係がとても良いのでしばらくは現在の職場で働き続けると思います。

 

現在、働いているのは一般病院で様々な方を受け入れしています。患者層としては整形外科と内科が多いです。脳血管疾患は近くに専門の病院があるので当院へはほとんど運ばれてきません。色んな疾患を見てきましたが、脳血管疾患は受け持つ機会もあまりないため、苦手分野です。

 

 ブログで行っていきたい内容

 

今後、当ブログ内では自分自身の勉強のため、疾患についての理解や検査データの見方などを挙げていきたいと思っています。

 

分かりやすく、おおまかに理解することを目指し、臨床でのヒントにしていただけたらと思います。

 

また、私自身についてなど身のない話もしていこうかと思っています。

どうぞ、よろしくおねがいします。

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プライバシーポリシー最終更新日:2020年7月19日